課長と私
「は…恥ずかしいんでやめてください…」
「楓ちゃん、だめだよ。こういうのはちゃんと受けて立つのが男だからね」
「裏でこそこそやるのは性に合わないんだよな。言えて良かったです。」
男同士での決着がついたようだ。
会社を後にした私たちは結婚式の細かい話し合いを業者としながら計画を立て、買い物をして家に帰宅した。
だいたいのことは百合さんが決めてくれたおかげで話し合いも少なくなりそうだ。
「体調、悪かったら座ってて。」
「今日は大丈夫ですよ。久々に作らさせてください。腕が鈍ります。」
「そ?じゃあ、楽しみにしてる。」
そう言いながら私が見える位置で本を読み始める彼。
「そういえば、亮くんはタキシード決めましたか?私はこの間百合さんに連れられてドレス選んだんですけど…」
「俺は、別になんでも良いし。…結婚式の主役は楓ちゃんだと思ってるから。それに、姉ちゃんが張り切ってるみたいだから任せようかと思って。」
「そうですか?じゃあ、お互いに当日までの楽しみにしておきましょうね。」
「当日鼻血でるかもよ」
「私がですか?」
「お互いに。」
「何ですかそれっ…ふふ」
「楽しみにしてる。」
「…はい。」
心地よい時間が流れ、いつまでもこの時間が続けばいいと思った。
結婚式までもう少し。
大勢は呼べなかったけど、それでも一生に一度の晴れ舞台を作ってくれたみんなに感謝だ。