課長と私
「あとは…面白い話をニヤニヤしながら話してくるところと、嘘が下手なところ。」
それから何個も、1つ1つ丁寧に考えながら話す。
私のことを本当によく見ている。
「あ、声も好き……特に夜の」
「あーーーー!だ、だめです!いきなり何ですか!」
「え?好きなところって言われたから…」
「そー…ですか……」
好きと言われると…
ちょっと嬉しくなってしまうのは否めない。
「楓ちゃんは?」
「私…ですか?」
「俺のどこが好き?」
「先輩の…好きなところ。」
先輩の好きなところ…好きなところ…好きなところ…
「え、無いの?」
さすがに不服そうな彼。
そうじゃないんだけど、思ったより言葉でいうのが難しい…
「あります、あるんだけど…んー…」
「俺はそういうところも好き。真面目なところ。」
「え!?あ、分かった…まずですね、大きな手が好きです。」
「手?」
「あとは、低い声。落ち着くんです。」
「男の人ってみんなそうじゃないの?」
「先輩だからですよ…あとは、ちょっと心配性なところとか、ワイシャツの袖をまくってるときとか。」
指折り数えながら話をしていると、優しく微笑みながらこちらを見ている彼と目があった。