課長と私

――――………。



翌朝。


私が目覚めると、珍しく、本当に珍しく、天変地異が起こるのかと思うくらい。

彼の姿がなかった。



おかしいな、今日はお休みだった気が…



寝室から出て辺りを見回してみると、その姿はすぐに見つけることができた。

ただ、なんとなく…落ち込んでいる、ような?





「あのー…おはようございます。」




「…あ……おはよ。」





一瞬こちらを見るものの、すぐに反らされてしまう。

私、何かしてしまっただろうか…






「ごめんなさい、お休みだと思ってたから何も支度が…」



「いや…休みであってる……」



「そうですか…何か、食べますか?」



「……楓ちゃん、昨日…俺…」





あれ、もしかして…





「ごめん…」




「え?」




「あれは…酒が入ってて……」




「覚えてるんですか??」




「うん……記憶は無くならない体質みたいで……」





え、ちょっと待って。
それじゃあ私の、あの言葉たちも…?





「ちなみに私の言ったこととか……」



「覚えてる…鮮明に。」



「うっ……は、恥ずかしい…」



「俺のほうが…恥ずかしいって……」




はぁ…と深く息を吐く彼を見ていると、見慣れないせいか可愛らしく見えてきた。


落ち着くために、ソファに場所を移す。
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