課長と私
「へぇ~……そうなんだ。」
表情が変わらない。
ちょっと怖いかも…
「それって、今の彼氏じゃつまんないから来たって事で捉えていいんだよね?」
「へ?」
嘘…そんなポジティブに捉える人いる??
「もしかして、マンネリ?俺、結構楽しませてあげられる方だと思うんだけど…」
「ち、違いますよ。マンネリじゃありません、ラブラブです、これでもかってくらい。…ご、ごめんなさいお手洗い行ってきますね…」
後半早口になってしまった。
じっとりとした目が怖かった。
慌てて席を立つ。
緩奈とバトンタッチだ。
―――………。
トイレの個室の中。
「はぁ……」
ため息一つ。
やっぱり来ない方が良かっただろうか…
お酒の入った席っていうのもあるけど、なかなか上手に対応できないし…
そんなことを考えながらトイレを出ると、さっきの隣に座ってきた男性が携帯をいじりながら壁にもたれかかっているのが見えた。
ま、まさか待たれてる…?
いやいやいや…ささっと前通っちゃえば分からないよね…?
足早に彼の前を通り過ぎようとした。
「あ、ちょっと楓ちゃん。待ってたよ~」
「え……」
「トイレ行くとか、2人になりたかったのかなぁって」
「いや…普通にトイレに行きたかっただけなんですけどね…」
苦笑い前回だ。
いつもは心苦しくてこんなこと出来ないけど、この人にはこのくらいやらないと分からない気がする。