課長と私
うんうんと頷く彼女たち。
その間、自分が何フェチなのか必死になって巡らせる。
「私は…ちょっと頼りないと思ってた奴が、ある時突然しっかり意見が言えるようになってたりとかすると…グッとくる…かも。」
だんだん端切れが良くなくなってくる緩奈。
あれ…緩奈もしかして…?
「緩奈さん、恋してる人がいるの?」
「え?」
「そうなの緩奈?」
「え!?嘘、そう聞こえた!?」
「だって、何か思い出して言ってる気がして…」
こういう時に使うんだ、女の勘というやつは。
「白状しなさい!」
「そうだそうだ!」
「え……えっと…。」
「頼りないと思ってた人、かぁ…」
同じ部署にいる子だとしたら…
「桑野くん?」
「ごほっ……!」
アイスティーを飲んでいた彼女が咳きこんだ。
…緩奈って意外と分かりやすいタイプ?
可愛い~!
「えー!いつから!?」
「い、いつからって!付き合ってもないってば!」
「ねぇちょっと待って!桑野くんはどこの部署の子?」
「えっとね、同じ部署っちゃあ同じ部署なんだけど、部屋が違うというか…ちょっと部門が違うんだよね。」
「そう…です。」
「写真…ないの?」
奈央も真帆も興味津々だ。
緩奈が年上以外にはまるとは…
「去年の忘年会の写真うつってるんじゃない?」
そう言って画像を拡大していく。
桑野くんは身長が高い。バスケットボールを高校までやっていたみたい。
ただ性格はとっても大人しく、人前で発表をしたり、誰かに支持をしたり…というタイプではなさそう。
その性格もあってか、優しそうな外見をしている。
「えっ、こんな子いたっけ。…というか、タメ?年下?」
「一個下…かな。」
「ふーん…緩奈はこの子といつ知り合ったの?」
「彼の入社式のとき、私が受付をしてて…彼、ほかの人達より遅く来たもんだから印象に残ってて…」