課長と私
「分かりました…」
「大丈夫だと思うよ、俺たちが何かしなきゃ繋がらない二人じゃないと思うし。」
「…そう、ですね。」
いつも良くしてくれる緩奈に何かをしてあげたい気持ちは変わらないけど、彼の言っていることも確かにわかる。
静かに通話終了ボタンを押した。
小走りで席に戻る。話はそのまま緩奈の話が続いている。
「お帰り楓。」
「ただいま。何か進展はあった?」
「実は今…ふふっ」
緩奈以外の二人が顔を合わせる。
悪い方向ではなさそうだ。
「デートに誘われたんだよねー緩奈!」
「で…デートなのかな、この文面…」
「え!?本当に??ちょっと見せてよ緩奈っ!」
リアルタイムすぎる。
まさか亮くんが仕組んで……まさかね。
「えーっと…今度社会人チームでバスケの試合があるんですが、どうですか?……ん?」
「これって、一緒にやろうってこと?それとも試合に出るから見に来てくれってこと?」
「彼そういうところあるのよね…。」
「ふふふ…でも桑野くん、この文章送るのにめちゃくちゃ悩みそうな子だよね、話を聞く限り。」
「まぁ……ね。」
緩奈が優しく微笑む。恋をしてる顔だ。
可愛いなぁ…
「とりあえず、これは行くしかなさそうだね。」
「また話聞かせてね!」
「相談なら乗るからね!いつでも来い!」
「あんたは自分の相手を探しなさい!」
「…はーい…」
良かった。
緩奈には絶対幸せになってほしいもん。
先輩の言ってた通りになったけど、私も私なりに出来ることをやっていこう。
頑張りすぎないように…ね。
あっという間に夕方。
女子たちの話は尽きない。
「あ!そういえば、楓は結局のところ何フェチなの?」
「わ、私は…」
亮くんのことを考える。
フェチ…フェチ……。
「全部…かな。」
「うわー!リア充め!」
「ずるいぞ、幸せ者めーーーー!」
Fin.