課長と私

「楓ちゃんの彼氏は、どっち?」

「へ?」


私を含めて5人で撮った写真、男の子が2人写ってる。


「どっち?」


当然のことだけど、何年も前に別れた元カレだ。
なのに、浮気相手がバレたような変な感覚。

変に心臓が動き始めた。


「えっと……」


静かに指をさす。


「ふーん…」

「………あの」

「かっこいい子だね。」

「そう…です、かね」


歯切れが悪いのが自分でも分かる。

今彼は何を考えているんだろう。


「初めてキスした人?」

「え!?」

「そうなの?」

「え……あ、そぅです…ね」

「ふーん…」


ど、どうすれば…
これはどうすれば良いんだろう…


「初めてシた人?」

「へ!?」

「この人と、シたの?」

「え、え、あ、あのっ……亮くん…」


さすがにそれは、なんて言うか言いずらい案件で…

顔に熱がこもってくる。


「楓ちゃんの初めては俺が全部欲しい…」


ぽつりと小さい声が聞こえる。

少しだけすねているようにも見えた。


「りょ、亮くんだって…私とが初めてじゃない、じゃないですか…」

「それはそれ、これはこれ」

「そんな…」

「初めてはこの人だった訳だ…」

「……。」


近年稀にみる言いづらい案件だ。

止まっていたページがまた動き出す。
その動作が無機質で、少し冷たい感じがした。


「あの…」

「ん…?」


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