課長と私
「ど、どうしよう」
秋穂から一つだけ押し付けられるようにしてもらったのは小さいながらも威力があるバイブだった。
簡単にやり方も説明してもらったけど、いつ使うのやら…
スイッチを押してみると小さく震え出した。
「おぉ…」
これが1番弱い振動らしい。
段階があと3つある。
「これを…当てる…」
試しに首元にあててみる。
「くすぐったい…」
むず痒い感じだ。
そのまま段階を1つ上げると、震えが大きくなった。
確かにこれを当てていれば刺激にはなる。
「ちょっと…やってみようかな…」
まだ帰ってこない彼をよそにベッドルームに行く。
毛布の中に入って電源をいれた。
秋穂は目を閉じて、シチュエーションをしっかり考えてから始めると言っていた。
こうしてほしいとか、こうやってくれなぁと思いながらやるともっと気持ちが良いと。
「1番弱いの…」
スイッチをいれて、布越しに当ててみる。
「…微妙…」
今度は下着の上からやってみる。
少しだけ振動がくる。
「……も、ちょっと強く…」
段階を1つ上げてみる。
「ぁ……っ」
さっきよりも間違いなく気持ちが良い。
声が漏れないように毛布で口元を抑える。
右手で感度の良い所を探す。
「はぁ…っ……ん……ぁ…」
ピクっと体が動く。
何度も刺激すれば、1人でもイってしまうかもしれない。
もう一個上げたら…
気持ち良い感覚がもっとほしくて、スイッチに手をのばす。
「あっ…あっ、は…っ、んんあ…あぁ」
段階を挙げた瞬間、今までより1番強い刺激を体がすぐに感じ取る。
気持ち良い…
「んっんっ…あ、あ…や…っん…いっ…ちゃ…」
自分で動かしているのを忘れてしまいそうになるほど快感に溺れる。
厚い布団の中でビクンと腰が動く。
「は…っ……ぁ、はぁ…っ」
快感の絶頂を迎えた。
息が荒れて、体温も高くなる。
「ただいま…」
「えっ!」
「楓ちゃん…?」
「あ…ど、どうしよ…」
絶妙なタイミングで帰ってきてしまった彼に寝室にいることがバレてしまった。
布団の中の右手にはバイブが握られていて、膝の位置まで下ろしたスカートも隠れている。
とりあえず上体は起こしたが、スカートをずり上げるのに時間が足らない。
「楓ちゃん…?どうしたの、具合悪い…?」
ベッドにいる私を不思議に思い近付いてくる。
「あ!だめです!大丈夫なので!あの、待って…!」
「だめって何…」
そう言いながらベッドに侵入してくる彼。
私の遮る手を交わしつつ、おでこに手を当てて熱がないか確認してくる。
「熱くない?」
「そ、それは…」
「……下、どうしたの?」
「あ…いや…その…」
「1人で何してたの…?」
「あの……」
これはある程度確信をしてる笑みだ。
「楓ちゃん、嘘下手だから言ったほうが良いよ」
「う……何といいますか…」