課長と私
この後の展開がなんとなく分かってしまった。


「先輩ちょっと待ってください…」

「だーめ。」

「まっ」


自分の体の前に出した手も遮られて、熱い唇が混じりあう。

部屋全体に水音が響いて、それだけでもドキドキする。


「せん…ぱっ」

「先輩は無し。」

「…んんっ……」


呼吸が荒くなっていく。
私が着ていたものが次々はがされていき、なぞる様に舌がそこを這っていく。

彼の熱い舌に反応する体はどんどん甘い感覚に酔いしれる。


「楓」


行為の途中に何度も何度も名前を呼ばれて、私も必死に先輩の首に腕を回ししがみつく。
潤んだ目を向けて精一杯応えようとしているものの最後はいつも私の方が果ててしまう。

目が合うたびに優しい微笑みを向けてくれる先輩が大好きなんだ。

私が酔って、藤崎に抱き付いたことなんて忘れてしまうくらいの甘い時間を過ごした後、
何事もなく平和に毎日が過ぎていく。


…と思っていたのは私だけだったかも知れない。


事件が起きたのはその日から数日後。


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