課長と私
一体私にストーカーして何の利益があるんだろうか。
携帯の画面をじっと見つめて考えてみるが全く分からない。
~♪
静かな部屋に音が響き、体がビクッと震えた。
「わ、また来た…」
“今夜は何を作ってるの?”
「う…何か見られてるみたい……。」
このメールを見た時、私はちょうど夕飯の支度をしていた。
まるで、本当に誰かに見られているみたいに。
緩奈の言う通り、これがストーカーというものなのか…
そんなことを思っていると、家のインターホンが鳴った。
「ひっ!?」
肩がビクッと反応し、心臓が高鳴った。
どうしよう…1人なのに…。
散々脅されているからか敏感になっているようだ。
もしかしたら宅配便かもしれないのに…
何かがあったときに備えて右手に携帯を持ち、表示させたのは先輩の電話番号。
いつでも先輩に連絡ができるように。
武器になるようなものは生憎持ち合わせていないため、それだけが唯一の救いだ。
「だ、誰ですかっ…!!」
少しだけ声に震えが出る。
「………。」
勇気を出して声をかけたものの、返ってくる言葉はない。
本当にどうしよう…
ドアの向こう側に、ストーカーさんがいるとしたら私…殺される…!?
「楓ちゃん。…腹減った。」
「へ……。」
犯人は、携帯の画面に表示させていた人。
張りつめていた体から空気が抜けていくように力がなくなっていく。