課長と私
ep.3
「せ・ん・ぱ・い!!!!!!」
「……。」
「もー…本当に遅刻しちゃいますってぇ…」
ここ何ヶ月。
お休みの日以外はいつもこうだ。
ストーカー事件から先輩の家にお世話になっている手前
あまり文句は言うつもりはないが、こればかりは言わせてほしい。
「先輩!!起きてくださあああああい!!!」
「……あとちょっと。」
「それ5回目ですって!!」
「……。」
…この人本当に課長なんだろうか。
いや、社会人何年目…?
…それから数十分して、ようやく先輩が起きてきた。
後半私は諦めそうになっていたけど。
「もう明日から自分で起きてください。」
「それ何回目だっけ楓ちゃん。」
「だからっ…本当に明日から起こしませんからね!」
「…はいはい。」
朝食を食べながら薄い笑みを残す彼に私は朝から怒っていた。
でもそんな雰囲気が、
こんなだらだらした空気が好きで結局は先輩のことを許してしまう。
そんな空気から抜け出して、会社についた私たちはあっという間に上司と部下の関係に戻る。
「楓ってさー…彼氏さんとどうやって出会ったんだっけ?」
「え、何いきなり…どうしたの緩奈。」
「んー?いや、なんとなく気になって。」
「えっと…出会ったのは、大学のサークル?でも、私は噂とかで先輩のこと知ってて…しかも、ちゃんと話すようになったのって、先輩が就活してた時だし、もう卒業近くだったなぁ…。」