課長と私

――――……。


大学時代。

高校の時の友達はほとんど別の大学に進学してしまって、入学式から1人ぼっち。
そんな私に初めて声をかけてくれたのが、会社勤めになってからも仲が続いている秋穂。
彼女も私と同じ状況だったようで、私に声をかけたらしい。


「ねぇ楓ー。このサークル入らない?」

「んー?秋穂サークルに興味あるの?」

「いやぁ…大学だし、何かサークル入りたいなぁって。」


秋穂が指さしたそのサークルが私と先輩が出会うきっかけとなったのだ。

…と言っても。


「あ、また出待ちかな?」

「あー。なんだっけ、柳瀬先輩?」

「すごいよね。イケメンアイドルみたいな扱いだね。出待ちなんて。」


私は先輩のことを知っていたり、いなかったり。
正直、詳しくは分からなかったから、興味があるとは言えなかったんだけど。


「とりあえず!!サークル見学は明後日ね!毎週金曜日らしいし。」

「了解ー。じゃあまた明日!」


秋穂が手を振って私とは別の方向へ向かっていく。
柳瀬先輩の出待ちの女の子を横目に、私は自分の家に向かって行った。

あんなに女性に囲まれて、不自由ない生活してるんだろうなぁ…
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