体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
「のど乾いたから、そろそろ上がない? アイスボックス張り切って持ってきちゃったしさ」

一緒に浮き輪につかまりながら、バタ足で浜辺に戻っていく。

なかなか前に進んでいかない2人を、ときおり波が大きく運んでくれた。

砂浜にひろげたタオルの上に座り、足を投げ出した。

アイスボックスから優がビールを2本取り出して、1本を美弥に渡した。

「コロナビールだ。懐かしい!」

「懐かしい? 柏木美弥はメキシコ人だったのか」

「違うよ」

「知ってるよ」

優が破顔した。

美弥はくだらない冗談にも真面目に返してくるときがある。

「昔、友達とコロナにはまってよく飲んだの」

「それ、友達じゃなくて、元彼だろ?」

「え?」
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