体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
別荘に戻り、ふたつあるバスルームでそれぞれにシャワーを浴びた。
優は新しいTシャツに着替え、美弥は細い肩ひもの、白地に紺の花柄のサンドレスを着た。

「夕飯どうする? 作ってもいいけど、とりあえず今日はバーベキューする?」
冷蔵庫からミネラルウォーターを出してコップに注ぎながら、優が美弥にたずねる。

「賛成」
美弥は右手を上げた。

「あ!」
「どうしたの?」
「ビール飲んじゃったから、車で買い出しに行けないじゃん。スーパーまで30分近くかかる」
「別にいいよ。ここらへん散歩したいし、ぶらぶら歩いて行こう」

普段から美弥はよく歩く。
気持ちがいいし、日常の風景を見るのが楽しいからだが、知らない場所を歩くのはなおさら楽しい。

「じゃあうまいかき氷屋があるから、ついでに寄っていく?」
「行く! 宇治金時食べる」
「俺はいちごミルク」

美弥は優と顔を見合わせて笑い、とても楽しくなって、そして寂しくなった。
期間限定の勉強会はもうすぐ終わりを迎える。
でも、夏に寂しいのは似合わない――美弥は首を軽く振り、ふと舞い降りてきた寂しい気分を振り払った。

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