体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
テレビでちらりと映った優との親密そうな姿、優の部屋で見た、美弥の会社名が入ったTシャツ、ふと感じる優の素っ気なさ、白紙のままの今年の夏休みの計画。
そんな不確かな要因の積み重ねだけれど、綾香は優からいくら美弥がただの同級生だと説明されても、そうではないことを女の勘で匂い取っていた。
手遅れにならないうちに、早く『結婚』という手形を手に入れたかったのだ。

優は自分の結婚話が広まった経緯について、その推理を父に伝えた。

「言葉にしていなくても、そろそろ結婚するような雰囲気だったのか?」
「どうかな?」

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