体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
「どうしたの?」
「ごめん。弟を迎えに御殿場に寄らなきゃならなくなった」
「そう。じゃあ私は電車で帰った方がいい? 駅までは送ってくれるよね」
「嫌じゃなければ、一緒に帰ろう」と言うと、美弥がパッと顔を輝かせた。

「全然嫌じゃない。沼田君が、沖田優の弟はイケメンで今話題のフラワーアーティストだって言ってたから会うのが楽しみ」

想定外に喜ぶ美弥の反応がいまいち気に食わなかったが、生美は確かにちょっとした有名人だし、別に弟だしまあいいか、と言い聞かせ、それでも優は「別に大してイケメンじゃないよ」と付け加えておいた。
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