体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
お盆の帰省ラッシュで多少の渋滞は覚悟していたが、意外とスムーズに車は進み、1時間半ほどでホテルに着いた。
ちょうど昼時だったので、ホテルでランチを食べようという生美の提案に乗ることにした。

優も美弥もTシャツにパンツという恰好で、ハイソなホテルで食事をするには若干ラフすぎたが、観光シーズンだし、ランチだし、大目に見てもらおうと、待ち合わせのカフェラウンジに向かった。

「素敵……」

館内に入ったとたん美弥がうっとりとつぶやいた。

まだ20代のとき、両親に連れられてこのホテルに始めてきたときには優も感激した。
和の佇まいと、海外のリゾートホテルのようなモダンな趣きが調和した空間は、「わぉ!」と声が出るほどクールで、興奮したほどだ。

ほとんど宣伝をしないので、一般にはあまり知られていないが、日本ではトップクラスのホテルだ。
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