体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
白いソファに腰かけ、頬杖をついて庭に目を向けている姿がとても美しかったから。
白いシャツも、男性にしては華奢な首も、色の浅いサラサラの髪をちょこんと束ねた髪形も、何もかもが彼に似合っていた。

「生美」

優が近寄り名前を呼ぶと、生美はゆっくり振り返り、笑顔になった。
まるで花が咲いた瞬間を見るようだった。
美弥が挨拶をしようとすると、その前に「あ」と、生美が美弥を見て驚いた顔をした。

事情は父さんから聞いて知っているから大丈夫だと言っていたのになんでだよ、と、優は怪訝な顔で優を見た。

「美弥さん?」
「え、お前ら知り合いなの?」

「会ってみたい」と喜んでいたのだから初対面のはずなのに、と美弥をみるとやはりきょとんとしていた。

「美弥さんでしょ? お久しぶりです」
「なんでお前が知ってるんだよ」
「だって小・中学校で一緒だったし」
「学年が違うじゃないか」
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