体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
驚いたように顔を上げた優の顔を、綾香は睨んだ。

このとき綾香は、「やっぱり、あの女にとられたのか」と思い、テレビに映っていた、優の背から落ちた美弥のすらりとした足を思い出し、彼女を、美弥を憎んだ。

「いやだ、って言ったら? 別れたくないって言ったら?」

優と別れたくないのは本当の気持ちだったし、それと会社にも母親にも優と結婚すると話してしまった。
周囲から優との結婚を固めようと思ったのに、その綾香の思惑は、優の心の変化に間に合わなかった。
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