体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
ホテルの外に出た瞬間にむぅっとした熱気が体を包む。
エアコンの冷気の中でサラサラに乾いた肌があっという間に汗ばんだ。
熱ですべてがゆらゆらと霞んで見える。

今年の夏はことさら暑いなと、優は空を見上げた。
お盆は過ぎたが、夏はまだまだこれからだ。

けれど優と美弥の、少し振り向くだけで肌も心も溶けそうな、熱く、濃厚な夏が終わった。
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