体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
理屈屋の優なのに、まったく言い訳が浮かんでこなかった。

まさか「唇が可愛くて触ってみたかった」とは白状できなかった。

その後もドキドキするたびに、美弥をつついたりからかったりすることでごまかした。

同窓会で、肩にかかる髪を耳にかけ、唇をすぼめていきなり俺に突っかかってきた瞬間に柏木美弥だ、とわかった。

だけど覚えていないふりをしたのは、小学生の時と同様ドキドキをかわすためのちょっとした意地悪だった。
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