体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
美弥の体に溺れれば、2度ともとの場所にもどれない気がする。

彼女がいる。

いとしい彼女がいる。

将来を一緒に歩く予定の彼女がいる。

一時の情欲にすべてをとかすつもりはない。

だから10回という制限が必要なのだ、と優はまた理屈を考える。

勉強会を理性で終わりにするために――――。


「10回?」

「そう、10回」

「それは回数? それとも1日を1回とカウントするの?」

「1日1カウント」

「わかった。唇のキスはタブーね」

「なんで?」

「唇は好きな人とだけやる神聖なキスだから」

「セックスするのに?」

「男の人にはわかんないと思うけど、唇は体で心なの。愛を感じる一番敏感な場所だから」

そんなことを言われて、優は無性にさくらんぼの唇に触れたくなった。

「そっか。じゃあこれで我慢する」

優は人差し指で美弥の唇に触れた。
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