体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
「ねえ、美弥さんの会社は夏休みある?」、と生美が聞いてきたのは、朝食を終えて2杯目のコーヒーを飲んでいたときだ。

「うん、一応3日間ある」
「それ、決まった日に休まないといけないの?」
「ううん。9月までにとればいいみたい」

昨年はお盆に合わせての休みだったが、それだと職種によって取りづらい社員も多いということで、今年はそれぞれ休みやすい日に取ればいいことになったのだ。

「じゃあ、9月に旅行に行こうよ」

生美の提案は嬉しかったが、美弥は首をかしげた。
どんどん売れっ子になっていく生美のスケジュールは昨年末に比べても、さらに過密になっている。
まる1日休める日もめったにないのに、数日続けてやすむことなどできないだろうと思ったのだ。

sかし「生美君、お休みとれるの?」と、半信半疑で尋ねる美弥に、生美は「とれるよ。スケジュール入れなきゃいいだけだもん」とあっさり答えた。
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