体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
話を聞いていた美弥は「あっ」と小さく叫んだ。

「なんだ、お前も今気づいたのか? 俺もなんで気づかなかったんだろう。その先輩女子がおまえだったって」
「あれは生美君だったのね」
「あいつは多分、あの時からずっとお前に恋してて、俺らがふらふらしている間も生美の想いの糸だけが真っ直ぐ柏木美弥を目指して伸びてたんだよ。だから神様はあいつのためにタイミングを合わせてくれたんだ。そのおかげで俺たちの恋愛のタイミングがずれたってわけだ。だからあいつは絶対にお前を離さない。そして必ずお前を幸せにしてくれる」

悔しいけど祝福してやる、と言って、優は美弥を抱きとめ、その甘く懐かしい髪の匂いに顔をうずめた。

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