体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
第13章 夏の結末
「しかし柏木がお前の弟と結婚するとはな」

沼田は優の顔をしげしげと見てから手にしていたブルックリンビアのボトルを口に運んだ。
アメリカなら1ドルで買えるが、日本ではあまり見かけないし、あったとしても高いといって、沼田は大好きなこのビールをニューヨークでやたら飲みまくっている。

「本当よね。私、美弥はあんたとくっつくのかと思ってたんだけどな。なんで?」

由美が2本目のビールの栓を開けながら優に質問する。

「なんで、って聞かれてもな……」

沼田と由美は、明日の美弥と生美の結婚式に出席するために昨日からニューヨークに来ていた。
互いの家族と任意の友人だけで教会で式を挙げる小さな結婚式だ。
ニューヨークなら、ついでにニューヨークのオフィスの様子も見られるし、優も予定を合わせやすいという沖田家の都合と、ニューヨークに一度は行きたいと思っていた美弥の両親の都合が合致したわけだ。
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