体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
優の話を聞き終えた沼田と由美は、「なんで好きだ、彼女とは別れるから待っていてくれって言わなかったんだよ」「1年の延長交際なんてありえない。正式に婚約していたわけでもないのに」と、半ば呆れ、半ば憐れんだ。
「俺だって後悔しているよ。あの時、柏木美弥にちゃんと気持ちを伝えていたら、待っていてくれって伝えておけば、いやその前に事情くらいは説明していたらって。生美に何度も念押しされたんだ。『優君と美弥さんは付き合ってないんだよね』って。あのとき「これから付き合うから手を出すな」ってなんで言わなかったのかって――まあ、過去を悔やんでも仕方ない。すべてが後の祭りで、つまりは結ばれる運命じゃなかったんだ」
しんみりとした空気が部屋に流れる。
「義理の妹になるわけか。淫靡な香りがするな……」
したり顔でつぶやいた沼田の側頭部を、由美が思い切りはたいた。
「俺だって後悔しているよ。あの時、柏木美弥にちゃんと気持ちを伝えていたら、待っていてくれって伝えておけば、いやその前に事情くらいは説明していたらって。生美に何度も念押しされたんだ。『優君と美弥さんは付き合ってないんだよね』って。あのとき「これから付き合うから手を出すな」ってなんで言わなかったのかって――まあ、過去を悔やんでも仕方ない。すべてが後の祭りで、つまりは結ばれる運命じゃなかったんだ」
しんみりとした空気が部屋に流れる。
「義理の妹になるわけか。淫靡な香りがするな……」
したり顔でつぶやいた沼田の側頭部を、由美が思い切りはたいた。