体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
買ってきた食材と飲み物を車から運びだし、セッティング班と調理班の二手に分かれた。

男子は皆セッティングに回ったが、沼田だけは美弥たち女子と一緒に、食材を持って近くに設置されている流しに向かった。

玉ねぎの皮をむいてザクザクと櫛型に切りながら、由美が「ちょっと男友達はどうしたのよ」と、隣で器用にジャガイモの皮をむき始めた沼田に詰め寄る。

「考えたんだけどさ、俺も彼女募集中だから男増やしてる場合じゃねーなと思って」

「えー、期待してたんだけどなあ」と、キャベツを切りながら美弥も抗議する。

「沖田に彼女がいなけりゃよかったのにな」

「なによ、それ」

「仲良さそうだから」

「別に。中学のときもあんまり接点なかったし、同窓会で久しぶりに再会しただけだから」

ウソをついた。

「まあさ、もしかしてこの同窓生メンバーで恋が芽生えるかもしれないじゃん」と言いながら、沼田は皮をむいて厚めにスライスしたジャガイモをざるにいれていく。

美弥と由美はコンロの前でバーベキューのセッティングをしている男たちを改めて眺め見た。
< 68 / 324 >

この作品をシェア

pagetop