体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
ただの水かけっこをむきになってやり続ける2人のTシャツもパンツもびしょぬれで、頭からは水がしたたり落ちている。

「あいつらさ、精神年齢、中学時代と同じくね?」と、沼田が由美に言う。

「いや、もしかしたらあの時代より低下してるかも」

そのとき、美弥が急に何かを見つけて下流に向かって走って行くのが見えた。

少しの間あっけにとられていた優が、やはりあわてて後を追う。

けれど由美と沼田には2人がまた遊びで追いかけっこでもしているのだろうという風に見え、それがどうやら違うようだと気づいたのは、美弥が肩までも水に浸かっているのが見えたときだ。

「あれって……」

沼田もあわてて駆けだしたが、また苔に滑って今度は水の中でしりもちをついた。
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