体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
「えー、そうなの? おめでとう!」

「やだ、まだ“しようね”って話だけよ」

「でもそれって、プロポーズされたってことでしょう?」

「えーっと、うん……まあね」

「わあ、いいなあ」

綾香は照れくさそうに笑った、ように見えたが、本当は自分の嘘に戸惑いながら笑ったのだ。

「でも、まだここだけの話にしてね。優君、プライベートな話が広まるの、大嫌いだから。絶対に他には言わないでね」

そうはいっても、どこまでも転がっていくのが嘘というもの。

この嘘が嘘になってしまうのか、それとも綾香が思い描いていたようなリアルにつながるのか――。

いいえ、絶対に優君とゴールインする。嘘なんかで終わらせないと、綾香は決意した。
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