囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「別に。本当に私のモノなのかなって思っただけ」
「信用ないなー、俺」
「その辺に関しては仕方ないんじゃない? 及川のいい部分はもちろん、女関係最低な部分だってあれだけ見てきたんだから。
これから先、見直すことはあっても幻滅することはないと思う、私」
本当に……思い返せば返すほど最悪男で、なんで好きになったのか、疑問に思う。
実はダメンズウォーカーなんだろうかと不安になり始めた私の横で、及川はははっと軽く笑って。
それから私を見て言った。
「そんなに見てきてくれたんだ」
「……そこまでじゃないけど」
「これからも深月がよそ見しないように頑張んないとだなー」
これだけ女関係壊滅的にダメな男だって分かってて好きになっちゃってるんだから、もう相当な事をされない限り、他になんて目は移らないんじゃないかとも思うけど。
それを言うのはなんだか癪だから、ただ笑ってコートに視線を移す。
〝卓球部で健気に頑張る私☆作戦〟を実践中の花岡さんの試合展開は圧倒的劣性だった。
3対10のスコアが悲しい。
「花岡さんセット落としちゃいそう」
聞こえただろうに、及川は試合はどうでもいいのか、またスマホを取りだし何やら検索し出す。
普段、人と一緒にいる時にスマホをいじるようなヤツじゃない事は知ってるから、何か急用かもなと放っておくと、及川が言う。