囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


「俺がホテル連れ込んだ次の週の昼休み、深月、花岡さんと話してただろ?
今までした恋愛、一度も間違いだったなんて思った事ないって」

急に変わった話題に、記憶を巻き戻して……ああ、食堂での会話か、と思い出す。

「ああ、うん。したかも」
「なんか、それ聞いて吹っ切れたんだよなー。俺、こんななのに、それ全部知ってるハズなのに深月は間違いだとか思ってないんだって、それ知ったらなんか……慎重になってんのがバカバカしくなって。
だから花岡さんのおかげって言えばそうかもな」
「……花岡さんの気持ち知ってるくせにそういう事言うと嫌味みたい」
「どうせ本気じゃねーし。それに俺は元々、女の子傷つけてもなんとも思わない非道人間だしね。
花岡さんが傷ついたところで、どうこうしようとは思わないし」

……もう本当にどうなんだろうな。及川っていうより私が。

欲目なんだろうけど、普通に見たって及川は魅力的な部分を持った男だと思う。
包容力もあるし、軽く見せてるけど仕事だとかそういう部分はしっかりしてるし、性格だって明るくて一緒にいて楽しい。

案外傷つきやすくて、常に保身を考えてる。だからこそ恋愛には……よく言えば不器用というか。

女の子を振り向かせて振ったりはしているけど、それも及川が相手を慎重に見極めての上なんだろうとも思う。

及川だって性格上しつこく誘ってるわけでもないだろうし、ちょっと誘いをかけてみて相手の子が堕ちなければそこで終わりにするハズだ。

相手の子の選択肢を奪うような事はしてないのだから、相手には及川じゃなく、彼氏を選ぶ事だってできるんだし。



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