囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
及川をいつから好きだったのかは、明白には分からない。
ただ気付いたら……そんな感じだった。
それまでは、女関係が最悪な、でも悪いヤツではない同期だったのに。それがいつの間にか恋愛に形を変えていて。
気持ちに気付いてから一年と少し。
好きだって気持ちはひた隠しにして、ただの仲のいい同期として過ごしてきた。
だけど、及川と私は同期の中でもなぜか特別仲がよかったから、一緒にいる時間も、ふたりきりの時間もたくさんあって。
そんな中で大きく膨らんだ気持ちは、出口を求めて、少し油断すれば言葉になろうとするから、抑えるのに必死だった。
それが溢れ出そうになったのが、今から三ヶ月前の仕事後の帰り道だった。
ふたりきりで駅までの道を歩いている途中、なんとなく恋愛よりの話になって。
なんとなく……言いたいって気持ちになっちゃって。
だけど、『あの、私……及川が』と言いかけた私を、及川は『おー、真面目な顔してどうした』って笑って、わざと告白の空気を遮った。
告白なんてされ慣れていて、勘のいい及川だ。
私が何を言おうとしていたかに気付かないハズがない。
その上での雰囲気の遮断は、つまりは……拒絶。
私は告白もさせてもらえず、振られたって事を意味していた。
それから三ヶ月。及川とは、あの告白の欠片なんてまるでなかったかのように、それまでと同じように話して笑っている。
同じ職場の同僚として。……そして、特別仲のいい同期として。