囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
七月も四週目に入ると、もう惰性もいいところだった。
ボーナス云々も、約一ヶ月頑張り通せば、営業先だってなくなってくる。
店頭だけでなく、営業担当も忙しさから解放され落ち着きを取り戻し始めていた。
これで目標にまったく達せそうもないっていう数字しか残せていないなら、支店長の鬼のような視線のもと、まだまだバリバリ営業もかけるのだろうけど。
先週終わりには無事目標を達成できていたから、支店長も仏のような……とまではいかなくとも、少なくとも鬼の形相ではない。
店内にも職員間にも穏やかな空気が流れていた。
目標はいつも設定してはいる。
でも、実際のところ、達成できる事はそうそうない。
だから、今回の成績には役職に就いている人たちも満足そうだった。
この頑張りが一般職員にも臨時ボーナスとして戻ってくるなら、一般職員ももっと満足するんだろうけれど。
残念ながらそんな素敵なルールは職員規則にはない。
とは言っても、預金課として頑張ったのは、窓口業務を行っている人たちだけで、その奥で仕事をする内部職員は何もしていないのだけど。
営業や窓口が回してきた仕事を処理するだけの通常運転。
それでも気が急かされるのだから、営業や窓口はこの一ヶ月大変だっただろうなぁと思う。
花岡さんも。
なんだかんだいいつつ、融資の窓口をしていてノルマだってあったのだから、相当大変だったハズだ。