囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


「んー、でもちゃんと飲み会出るよ。小田くんも可哀想だし。彼女が及川に一目惚れしちゃっての結果だったら、申し訳ないし」
「えー、そんなん俺のせいじゃないし、小田を慰めるのは別に次でもいいんじゃねー?」
「及川、小田くんにそんな冷たかったっけ?」
「だって、いっつも俺の女遊びを同期間に防露してた結果だろ。自業自得」
「そんな事言ってないで出てあげなよ。まぁ、どうしても面倒だっていうなら、及川は仕事で都合がつかないって私から言っておくけど……どうする?」

私は行くっていうのを固定した上で話を進めると、及川は納得いかなそうな顔をしながらも「じゃあ……行くか」と頭をぽりぽりとかく。

そんな様子にホッと胸を撫で下ろしていると。
今までのやりとりを見ていた手塚先輩が、及川に聞く。

「相変わらず仲いいわねー。でも、だったら及川さんなら知ってるわよね? 深月の好きなタイプ」

急に切り込んできた問いかけに驚いてる私の隣で、及川は「んー」と笑みを浮かべながら、答えに迷う振りをしたあと。

「案外、ダメな男にハマるよな」と、意地の悪い笑みを私に向けた。




ようやくボーナス期の激しい戦いを終え、迎えた八月第一土曜日。

来週末には、花岡さんの送別会が控えているというのに〝風邪引いた。助けて〟とかいうメールを送ってきた及川に、なにやってるのとため息をつく。

もっとも、先月は成績一位をとるくらいに頑張って目標達成に貢献してたわけだし、その疲れも出たのかもしれない。
仕方ないか、と思いながら、及川のアパートのある最寄駅で電車を下りた。

時間は十三時。駅から出ると、これでもかってほどの紫外線を含んでいるであろう日差しが降り注いできて、眉をしかめた。


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