囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


上は首回りが比較的大きく開いた白いTシャツ、下には紺色に白いラインの入ったジャージをはいた及川が、私を見てへらっと笑う。

顔色を見る限りはそこまで体調は悪くなさそうだけど……。
そう、じっと見つめていると、及川が「あがって」と言うから、ドアを閉めて鍵も閉めてから上がらせてもらった。

部屋の中は、外に比べて涼しくて過ごしやすい。
前来た時に話を聞いたら、建物内全部に空調設備がついているらしい。

この、アパートとは言えないような建物を建てた人がデザイナーで、その人がエアコンは見た目がよくないから代わりに空調を……って事らしいだけど。

見えない部分に埋まっている分、エアコンよりも取り付けとか高くつきそうだし、家賃とか高いの?と聞いたのも、初めて来た時の事だ。

答えから言えば、高くはないらしい。

なんでも、ここは五年後には別の人が住む約束だから、その頃には出て行って欲しいって話らしく。

そういう理由から、ほぼ一軒家みたいな広さに、デザイナーズマンションと言っても過言ではないような内装なのに、家賃はその辺の1LKと変わらないって話だったから驚いた。

オーナーさん太っ腹だなって。

相変わらずキレイに片付いている部屋に感心しながら、持ってきたビニール袋をテーブルに置いて……及川を振り返る。

「これ、適当に食べられそうなモノとか飲めそうなモノ買ってきたんだけど、ここでいい? 冷蔵庫入れとく?」



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