囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「あー、うん。ごめん。だって、深月俺と密室でふたりきりになるの避けてるっぽいし、こうでもしないと部屋に来てくれなそうだったし」
……まぁ、勘のいい及川のことだし、密室でふたりきりを避けてるのは、気付かれてるだろうなとは思ってた。
だから、あえて否定はせずに目を逸らす。
「だって及川、部屋に人呼ぶの嫌いでしょ。だから……部屋に誘ってくれたりしても、気を使わせてるのかなとか、無理させてるのかなって思って」
それだけが理由じゃないけど、それも理由のうちのひとつではあった。
部屋に誰かを呼ぶのを嫌うくせに、私の事誘ってくれるのは、〝付き合ってるんだしちゃんとしないと〟とかそういう意識が働いてなのかなって。
無理してるんじゃないのかなって。
だから、そう言うと、及川はキョトンとした顔をしたあと、ふっと困り顔で笑う。
「他人を呼ぶのは確かに苦手だし嫌いだけど、深月は違うよ。深月だったら、いつ来ても構わないって思ってたし」
「だけど、付き合う前は誘ったりしなかったし」
「だって、好きかもって思ってる状態で部屋になんて呼んだら確実に襲うし。
深月の気持ち知らなかった時には、そんな事して嫌われて関係が壊れたら嫌だって思ったし、なんとなく気持ち知ってからは……いや、知ってからも怖かったんだろうな、俺」
自嘲するみたいに微笑んだ及川が続ける。
「大事だから、自分の手で傷つけたりしたらって思うと、怖かった。自分の軽薄さを知ってるだけに」
「でも……二ヶ月くらい前、飲み会の帰りに……」
一度だけ持った関係を言うと、及川がそれを遮って言う。