囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「仕方ないじゃない。私は私で、どうするのが一番いいのか考えた末だったんだから」
「それからも、深月の気持ち探りたくて恋愛の話題とかガンガン出したのに、深月、俺に意地悪してるんかなってくらいに、気持ちの端っこすら見せないし」
「必死だったから。バレないようにって」
「結局、隠し通されちゃったし。俺の必死より、深月の必死の方が強かったって事か」
そう苦笑する及川に「そうでもないんじゃない。結局、こうなってるんだから」と笑って見せると。
及川は「それもそうだけど」と笑って……それから何を思い出したのか「あ」と小さく声をあげた。
「じゃあ、もしかして、飲み会優先させたりしたのも、俺に気を使ってたから?」
午後の日差しが、横に長い窓から差し込み、浮かぶ埃をキラキラを映し出していた。
部屋の中は上部分は明るいけれど、下半分は薄暗く不思議な空間だ。
図書館だとか、そういう雰囲気に近いかもしれない。
「それは……まぁ、それもあるけど」
ごにょごにょと言った私に、及川がはぁ、と重たいため息をつく。
「あのさ、俺が深月との時間を優先させたいって考えるの、そんな不思議じゃないと思うんだけど。
好きだって言ったの忘れたわけじゃないでしょ」
「……うん」
「それとも……深月の方が、俺の事手に入れたらどうでもよくなっちゃった?」
冗談とはとれない、不安そうな顔で聞いてくる及川をすぐに睨みつけて「及川と一緒にしないで」と否定すると。
及川がふっと優しく笑う。