囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
確かにうぬぼれてるのかもしれない。
及川にとって私は特別だって。
私は、花岡さんよりも見た目だってよくなければスタイルだってよくもないと思う。
至って普通の女だし、及川が相手をしてきた今までの子たちの中で比べたって、決してよくはない。
だから、及川に特別に想われてるなんていうのはうぬぼれなのかもしれないけれど……でも。
『俺、深月が好きだから一緒にいたい』
『薄情だし、意地も性格も悪いけど……それでもいい?』
『信じなくてもいいからさ、俺の事捨てないで』
及川は、私にそう言った。
それが、及川の本心だったのか、嘘はなかったのかって聞かれれば、そんなの及川にしかわからないことだけど……。
でも、あの時、及川の瞳のなかに、頼み込むような必死さを感じたのは、本当だ。
だから……及川がそう言うなら、私は信じる。
及川が今まで他の子相手にどういう事をしてきたかよりも。
及川が、私に、今までどう接してくれていたかの方を、私は信じる。
及川はいつだって、私には嘘をつかなかったし優しかった。
私が信じるのは、及川が私相手に見せてくれた態度や言葉だ。
誰かへのものじゃない。
そう思い、すっと息を吸い込んで花岡さんを見た。
「うぬぼれてるわけじゃないですけど。私が及川を信じないと、及川が傷ついた顔するから……だから、私は花岡さんの言う事より、及川を信じます」
そうハッキリ言った私に、花岡さんは気に入らなそうに顔をしかめながら言う。