囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「それがうぬぼれてるって言ってるのよ。まぁ、信じる信じないは自由だけど、あれだけの外見してるんだもん。遊ばれてもラッキーくらいに思ってた方がいいんじゃない?」
面倒くさそうに告げられた言葉に、少し黙る。
好きだから、遊びでもいいから……って想いがないかって言えばそれは嘘になる。
思い出でいいからって、関係を持ったのだから。
そこから……及川と私の関係は始まったのだから。
でも。
「花岡さんは、それで満足できるんですか?」と聞くと、ますます眉を寄せられたけれど、続けた。
「私は、本当に好きだから遊びなんかじゃ足りません。できればずっと隣にいたいから、信じたいし、信じてて欲しい。
ちゃんとした信頼関係が作りたいです」
こんな宣言を花岡さんの前でしちゃうなんて、私もアルコールがだいぶ回っているのかもしれないと思いながらも、止められなかった。
バカにされるとか、強く言い返されるとかするかな、と構えていたけれど……花岡さんは意外にも眉を寄せ、「本気になっちゃってバカみたい」と一言いい、私を通り越していった。
もっと何かしら言われるかなと思っていただけに拍子抜けするも。
花岡さんも須田さんとの事を見られた手前強く出られなかったのかな、と判断して歩き出そうとして……一歩足を踏み出したところで止まった。
視線の先に、真剣な顔でこちらを見る、大崎くんが立っていた。
持っていた、支店長に頼まれたオレンジジュースの缶。
外の温度差とでできた水滴が、手を伝ってぽたりと床に落ちた。