囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「ごめんね。せっかく、あんな風に言ってくれたのに」
あの告白みたいな言葉がどこまでの想いなのかは分からない。でも、軽い気持ちじゃなかったのは確かだ。
だから謝ると、大崎くんは「いえ……」と小さく首を振ってから目を伏せ、口元に笑みを浮かべる。
「いや……仕方ないです。深月さんが及川さんを好きって言うなら、仕方、ないっすけど……」
なんとか笑っているといった感じだった大崎くんが、次第に声を詰まらせるから、もしかして泣いてる……?とギクッとする。
何事にも熱い子だから、もしかしたらありえるかもしれない。
そう思って俯いたままの大崎くんに近づき、顔を覗くようにして話しかけた。
「大崎くん、大丈夫……」
「深月さん、一度だけ抱き締めてもいいですか?」
「え……」
遮るようにして聞かれた言葉を、理解する間もなく、握られていた手を引かれた。
そして、そのまま強い力で抱き締められる。
ギュッと……本当にギュッと抱き締める腕は及川のそれとは違って、居心地悪く感じて押しのけようとしたけれど……。
大崎くんの胸から聞こえてくるバクバクという心臓の音に気付き……押そうとした胸が押せなくなった。
聞こえてくる胸の音までもが熱くて、それが鳴る度に傷ついてるって主張しているみたいに感じて、痛みが伝わってくるみたいだったから。