囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


二階建て一階部分をふたつに分けると、店舗エリアとそうじゃないエリアに分かれる。

こちら側にあるのは、給湯室にトイレに倉庫と、外と繋がる、職員用の出入り口。それと二階に続く階段。
二階にあるのは、男女それぞれの更衣室と会議室、書庫に、食堂。

食堂といっても、お弁当屋さんが入っているわけではなく、ただのテーブルとイス、テレビ、そして小さなキッチンのあるただの部屋だ。
これが本店ともなると、お弁当屋さんが入っていて定食が選べたりもするらしいけど、地方銀行の支店なんていえばこれが普通だと思う。

私の配属されている前橋支店は、駅から徒歩五分の場所にあるけれど、駅自体がそこまで栄えていないため割とのどかだ。

駅から伸びる広く綺麗な並木道沿いには、専門学校やコンビニ、不動産屋や歯医者などが並んでいて、その一角に前橋支店がある。
取引先は、企業よりは個人が多い。

五十日(ごとうび)や月末となるとさすがに忙しいけれど、殺人的だとかそういう訳でもないし、基本的には落ちついている。
仕事が少ないわけでも多いわけでもなく、一通りの事がこなせる。新人が配属される先としては、割といい環境下だ。

なのにも関わらず、この二ヶ月、裏への呼び出しが耐えないのは……仕事ができるできない、要領がいい悪いに関係なく、大崎くんの性格に問題があるのだと思う。
なんていうか……真面目すぎる。



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