囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
翌朝の朝食は、昨日の宴会と同じ部屋でとったものの……賑やかさは昨日とは比べ物にならなかった。
死んだように……って言い方も失礼なんだろうけど。
飲みすぎたのか騒ぎすぎたのか、男性職員がぐったりとしながら、もそもそと静かに朝食をとるのはいつもの事だ。
支店長も次長も、もういい年なのによくもまぁ……とは思うのの、普段色々ストレスがたまってるのかなと察すると何も言えない。
営業も、内部職員よりもお客様と接する時間が長い分、色々あるんだろうし。
年に数回、羽目を外して飲める昨日の夜は、特別な時間なのかもしれないなぁと考えると、いつも正気を疑うほどに騒ぐのも無理はないのかもしれない。
こんな事を例にだすのは不謹慎だけど。
お通夜だってもう少し話し声が聞こえるんじゃないかと思うほどシンと静まり返った大部屋で朝食を済ませ、部屋に戻り旅館を出る準備をする。
帰りは、乗ってきた車に乗り、支店まで戻るのがいつもの事だ。
でも、基本自由解散だから、例えば家族をここに呼んで、ここからは家族で一泊だとかそういうのも問題ないし、本当に自由だ。
時間までにチェックアウトすれば、そのあとはどう過ごそうと問題はないから、例えばゴルフ場を予約しておいて一日ゴルフしてから帰る、なんて人もいつも数人はいる。
支店長と次長はどうやらゴルフコースらしいって話を手塚先輩から聞いて、あれ、と思う。
じゃあ、ここに来るとき、支店長の車に乗ってきた花岡さんはどうするんだろうって。
そんなことを少し気にしながらも、何時出発かを確認するために及川を探して旅館内をウロウロしていた時。
受付前にあるスペースに、及川と花岡さんの姿を見つけた。