囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「女の子は怖いよなー。俺には従順な態度しかとらないのに、深月には平気でキツイ事言うんだもんな。
そういう二面性見せられると正直ひく」
「みんながみんなそういうわけでもないけどね。花岡さんは……ただ、及川を気に入ってるだけだし。
好きな人に仲のいい異性がいたらやっぱり気になるものでしょ……って、真面目に恋愛してきた事のない及川には分かんないか」
わざと嫌味っぽく笑った私に、及川は「んー」と笑みを浮かべながら唸った後。
「どうだろうな」
そう答えて意味深な笑みを作った。
そんな態度に、キョトンとしたあと、「は?」と自然と声がもれる。
「女の子狙っておとしてはポイ捨てしてきた人が、今更なんではぐらかす必要があるの?
心配しなくても、及川のその辺の価値観に対しては同期みんなして最低だって諦めてるから飾らなくて大丈夫だけど」
今更誤魔化す意味が分からなくて言うと、及川は「辛辣」と苦笑いをこぼす。
「いや、まぁ本当にその通りだから返す言葉もないんだけど」
そう言った後、及川が私を見て聞く。
……人の心をえぐるようなことを。平気な顔で、なんでもないみたいなトーンで。
「ちなみに深月は分かんの? そういう、やきもちみたいな気持ち」
――この男は、まったく。
グリッとえぐられ痛んだ胸に、思わずため息をつきたくなるのをグッと我慢して笑顔を作った。