囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「どうだろうね」
「誤魔化すなよなー」
誤魔化してるのは、そっちじゃない。
言えない言葉が、喉の奥につまり、息苦しくなる。
私の気持ちに気付いたハズなのに、なんでそれを聞くんだろうと思う。
あの時、告白しようとした私に気付きながら、遮っておいて……なんで今更そんな事聞くの?
私がバカ正直に、妬くにきまってるじゃない、及川が好きなんだから、なんて答えたら、困るくせに。
どんどん、どんどん、声にはできない気持ちが胸に溜まっていくから、思わず眉をしかめそうになるのを必死で堪えた。
「誤魔化してるつもりもないけど……」
――もしかして。
私がもう、及川を諦めて他を追い始めたとでも思ってる?
だとしたら、そんなの勘違いもいいところだけど……及川にとってはそうしておいた方がいいから、否定はしなかった。
「私、惚れっぽいから割とすぐに好きな人は変わるけど。
……でも、やきもちくらいは焼くよ」
「だから、花岡さんの気持ちも少しは分かるよ」と言って笑うと、及川は真面目な顔してただ黙っていた。
じっと見つめてくる瞳から、本音を隠して嘘を重ねる事は簡単じゃない。
何重にも気を張り詰めていないと、及川を前に全部をさらけ出してしまいそうになる。
だから、必死にそれを堪えて笑う。
「本気で恋してる人は、みんなやきもちくらいは焼くものなんじゃない?」
好きな人との会話が苦しいと思うなんて、悲しいなぁと思いながらじっと耐えていると。
及川はそんな私の気持ちなんか気づきもせずに「本気の恋なぁ」と眉をしかめた。