囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「そもそも俺、そこから分かんないんだよな。定義みたいなモンがないと難しくない?
一緒にいたい理由が100個とか並べられたら本気とかそういう基準ねーの?」
「100個……もあったら、本気だと思うけど」
さすがにそんなにはなくない?と聞くと、及川は難しい顔して首を傾げた。
こういう……純粋っぽいっていうか、子どもっぽいところ、見せるの止めて欲しい。
ついうっかり可愛いとか思ってキュンとしちゃうこっちの身にもなって欲しい。
まともな恋愛もできないダメ男のくせに。
恋をゲームにしちゃう、いい加減男のくせに。
〝もうとっくに及川を諦めた私〟を、ただ信じ込んでくれてればいいのに。
『私、惚れっぽいから割とすぐに好きな人は変わるけど』
そう言ったらそう言ったで微妙な顔する、わけのわかんない男のくせに。
さっきまで瞳の奥に浮かべていた私を暴こうとする色を消した及川が、「んー」と唸って眉を寄せる。
「まぁ、確かに100個は途方がなさすぎるし……じゃあ、20個?」
「なんか一気に下げすぎじゃない?」
「そうかー? じゃあ深月は何個理由言えたら本気の恋だと思う?」
「何個……だろう」
一緒にいたい理由……。
馬鹿馬鹿しい話題だなと思いながらも真剣に考えて……浮かんだ数字に呆れ笑いがもれそうになった。
及川と一緒にいたい理由なんて、たったひとつだ。
好きだからって理由以外、見つからない。
好きだからって理由が大きすぎて……他の理由なんて見えもしなかった。