囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
もしかしたら、もういい加減そんな事していても仕方ないだとか、相手の子に申し訳ないだとか、そんな心変わりがあったならいいなぁと思ったのはいつだったか。
そんな風に、他がふざけた態度な分、せめて恋愛くらいは真面目にしてくれればいいのにと思ったのは、ただ単に、仲のいい同期としてだったハズなのに。
それが恋に形を変えていた事に気が付いたのは、いつだったんだろうとぼんやりと思う。
……ぼんやりと、考えている場合でもないんだけど。
目の前でスヤスヤと眠る及川にもう一度視線を落としてから、ゆっくりとベッドを下りる。
身にまとっているのは、下の下着と及川のYシャツで……分かりやすい格好に、ああ、事後だ、と乾いた笑いがこぼれた。
ブラは……と探して、ベッドの端に落ちている事に気付き、それを手に取る。
それから、脱ぎ散らかされている服を持って、バスルームを探した。
ビジネスホテルだと言われても不思議にはならないような、ラブホテルの内装はとてもシンプルだった。
ベッドが大きくておかしな自販機がある以外はいたって普通のホテル。
ホテルについているドアなんて、出入り口か、バスルームかトイレだ。
当てずっぽうに開けたら、一枚目のドアで目的のシャワーを発見する事ができた。
パタンと静かにドアを閉めて、着ていた、というよりは羽織っていたって言葉の方が正しいYシャツに手をかけたところで……ぴたりと止まった。
いつも及川のしゅっとした身体を包んでいるYシャツを羽織っている自分。
それを洗面台の鏡の中に見つけて……きゅっと唇をかみしめた。