囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


吊り目がちの大きめの瞳が、今は目尻を下げ情けない表情を浮かべていた。
胸元まで伸びた、茶色く染めた髪。緩いパーマがかかった髪が、及川のYシャツの上にかかっている。

よく、童顔なんて事を言われる顔には似つかない、女の表情を浮かべる自分に眉を寄せた。

『……なに、そんなジッと見つめちゃって。そんな見られると照れちゃうんだけど』
『深月……顔、ちゃんと見せて』
『ほら、逃げちゃダメだって』

寝ぼけていた頭から霧が晴れていくと同時に、昨夜のことがだんだんと鮮明になってくる。

最初は余裕を持ってた及川の声が、言葉が。次第に余裕をなくし、私に夢中になっていくのを肌で感じて。
それが、たまらなく嬉しかった。

深月って、呼ばれる名前も。熱い指先も。優しいキスも。
及川がくれる全部が、嬉しくて……幸せすぎて切なかった。

いくら酔ってたからって、振った女とホテルなんかきちゃう及川もバカだと思うけど。
振られた男とのたった一夜の思い出を、こんなに嬉しく思ってしまう私はもっとバカだ。

鏡の中の自分から目を逸らして、及川のYシャツをするりと脱いでバスルームに入る。
熱めのシャワーを浴びてから着替えを済ませて部屋に戻ると、及川は今起きたのか、ベッドの上で上半身を起こして後ろ頭をかいていた。

裸の上半身にドキッとすると同時に、綺麗だなぁと思う。

静かに眺めていると、視線が痛かったのか、及川はゆっくりとこちらを向いて。
私を見ると、へらっと笑った。


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