囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「気持ち悪いとかなら、貫井代理に理由話して帰った方がいいよ。歩けなさそうなら少し休ませてもらってから……えっ、な、なに?! もうやばい?!」
見上げながら話していると、急にガシって両肩を掴まれて驚く。
野球をずっとしてきただけあってか、厚みのある手に肩を掴まれて、身動きが取れない。
手だけでここまでホールドされちゃうものなのかって、驚きながら見上げていると、俯いていた大崎くんがグッと顔を上げて私と視線を合わせた。
しかめられた顔がやっぱり赤い。
「あ、あの……っ」
「うん?」
「俺っ、好きかもしれないです。深月さんの事」
「……へ?」と間抜けな声をもらしてポカンとしている私に、大崎くんが続ける。
「俺、今まで本当に野球だけだったから、そういうのってよく分かんないんすけど……。
でもなんか、そうかもって!」
驚いて言葉も出ない。
黙っているうちに話がどんどん進んでいくから余計に。
「でも、返事とかいいんで! 俺が一人前の仕事こなせるようになった時、もう一度言わせてくださいっ!」
「それまでコーチャーよろしくお願いしますっ!」と最後にぺこりと頭を下げた大崎くんが、満足そうにニカッと笑ってから部屋に戻って行く。
その姿を呆然としたまま眺めてから……ようやく、完全停止していた思考回路がじょじょに戻ってきた。