囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
戻ってきたけれど。
まず初めに思ったのは、今一体何が起こったんだろうって事だった。
混乱している頭を、なるべく落ち着いて整理する。
なんか、変な事を宣言し出した大崎くんに顔洗わせたら、肩掴まれて告白されて……でも、返事とかはいらないとか。コーチャーとしてよろしくだとか……。
思考回路が回復したところで、結局、一体、なんだったんだろうって事しか思えなくて。
ただただ、ぼーっと立ちすくんでいた時。
「なんか、モテてんね」
そう声をかけられてビクって肩が揺れた。
横を見れば、すぐ近くに及川が立っていて、その近さにも驚いたし、気付かなかった自分にも驚いた。
そんなにぼーっとしてたのかと思いながら、今何かを言われた気がして「え?」と聞き返すと「モテてんね」と言われて、ああ、さっきの告白を聞かれてたのかと思う。
「聞いてたんだ」
「こんな場所で告白なんて、誰に聞かれてもおかしくはないだろ」
「……そうかもね」
まぁ、いいや及川になら聞かれても、とようやく落ち着いてきた頭で思う。
及川はこんな軽い感じだけど、だからって人の恋事情を言いふらしたりするようなヤツじゃないし、その辺は問題ない。
それにしても、と、ようやく消化できたさっきの一連の流れに苦笑いをもらしていると。
見ていたのか、及川が「嬉しかった?」と聞いてくる。