囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「付き合わないよ。いい子だからとか、悪いところがないからだとか、そういう理由で好きになるんじゃないし」
及川がいい例だ。
女にとって最低な恋愛しかしていないって知ってるのに……それでも好きになっちゃったんだから。
自分自身をバカだなぁと思いながら目を伏せて続けた。
「それに、大崎くんが一人前になるのなんてまだ先だし。それまでには大崎くんの気が変わるんじゃない」
「そうか?」
「変わるでしょ。例え好き同士だって、時間が経てば想いなんて変わっちゃうんだから」
ただ一般論としてそう言っただけなのに。
及川が「ああ、元彼の話?」なんて言うから眉をしかめる。
「言っておくけど、私は別に捨てられたわけじゃないからね。円満に別れたし」
大崎くんのおかげで、きっとみんなに捨てられたと思われてると思うと、明日から気が重い。
まぁでも、捨てたと思われているよりはまだいいかと気持ちを切り替えてため息を落としていると、「付き合ってたのって、どれくらい?」と聞かれる。
「二年くらいかな」
「二年かー……長いな」
「及川のスパンは一週間単位だもんね」
そう意地悪く言ってみてから、隣に立つ及川を覗き込んだ。
「前言ってた、本気の恋。相手の想いが自分にあるって気付いてから一ヶ月経っても気持ちが変わらなかったら、及川の場合はそうなんじゃない?」
「いつも相手の子が自分に堕ちたって気付いた途端冷めるんだから」と続けると。
及川は「一ヶ月か……ありかもなー」と言って意味深に微笑んだ。